概要

フグは日本料理の代表的な食材のひとつであり、その高級感と独特の風味から多くの人に愛されています。しかしその一方で、フグは猛毒のテトロドトキシンを体内に含んでいるため、食べる際には十分な注意が必要です。
食べられるフグの種類
- フグ科
- クサフグ
- コモンフグ
- ヒガンフグ
- ショウサイフグ
- マフグ
- メフグ
- アカメフグ
- トラフグ
- カラス
- シマフグ
- ゴマフグ
- カナフグ
- シロサバフグ
- クロサバフグ
- ヨリトフグ
- サンサイフグ
- ハリセンボン科
- イシガキフグ
- ハリセンボン
- ヒトヅラハリセンボン
- ネズミフグ
- ハコフグ科
- ハコフグ
※全て筋肉は食用可能。
フグは種類によって食べられる部位が異なり、主に筋肉や皮や精巣です。ドクサバフグやナシフグといった食べられる部位のない種類もあります。
一般的に精巣(しらこ)を除く内臓や血液は毒性が高いため、食品衛生法で販売や提供が禁止されることが多く、肝臓にかぎっては全てのフグの取り入引きが許可されません。
フグ毒のテトロドトキシン
テトロドトキシンはフグ、イモリ、ハゼ、タコなどの動物に含まれる神経毒です。致死量は1から2mgとされ、その毒性は非常に強く、青酸カリの500から1000倍とも言われています。
テトロドトキシンは海藻や貝類などの食物を摂取することで、動物の体内に取り込まれます。フグやイモリなどの動物はこれらの食物を捕食することで、テトロドトキシンを体内に蓄積します。
テトロドトキシンは神経細胞の膜電位を変化させて神経伝達を阻害する作用があります。そのため、摂取すると吐き気、嘔吐、めまい、四肢のしびれ、呼吸困難などの症状が現れ、最悪の場合、死に至ることもあります。
テトロドトキシンの毒性
テトロドトキシンの毒性は以下の特徴を持っています。
- 熱に強く、300℃以上の加熱でも分解しない。
- 水に溶けにくく、普通に洗い流せない。
熱に強い
テトロドトキシンは熱に非常に強い毒性を持っています。そのため、フグの調理の際には血液や内臓を完全に除去することが重要です。また、フグ調理師免許を取得している調理人が十分に注意して調理する必要があります。
水に溶けにくい
テトロドトキシンは水に溶けにくい毒性を持っています。そのため、フグの調理の際には血液や内臓を除去した後、水洗いしてもテトロドトキシンが取り除かれることはありません。
テトロドトキシンの症状
テトロドトキシンの症状は摂取量や体質によって異なります。しかし一般的には摂取後の数10分から3時間程度で症状が現れると言われています。
症状の進行
最初は口や舌のしびれなどの軽い症状から始まり、次第に四肢や全身のしびれ、視力障害、嘔吐や下痢などの症状が現れます。
口や舌のしびれ
テトロドトキシンは神経細胞の膜電位を変化させて神経伝達を阻害する作用があります。そのため、摂取すると口や舌のしびれなどの症状が現れます。
この症状は最初は軽い程度で、指先や唇などに現れます。しかし次第に進行すると全身に広がり、四肢が動かしにくくなるなどの症状が現れます。
視力障害
テトロドトキシンは視覚神経にも作用して視力障害を引き起こします。
最初は視界のぼやけや光の輪が見えるなどの症状が現れます。しかし次第に進行すると失明に至ることもあります。
嘔吐や下痢
テトロドトキシンは消化器系にも作用して嘔吐や下痢を引き起こします。
この症状はテトロドトキシンの摂取量が多いほど激しく現れる傾向があります。
呼吸困難
テトロドトキシンは呼吸器系にも作用して呼吸困難を引き起こします。
この症状はテトロドトキシンの摂取量が多いほど早く現れる傾向があります。
意識障害
テトロドトキシンは中枢神経系にも作用して意識障害を引き起こします。
この症状はテトロドトキシンの摂取量が多いほど早く現れる傾向があります。
呼吸停止
テトロドトキシンは呼吸筋を麻痺させて呼吸停止を引き起こします。
この症状はテトロドトキシンの摂取量が多いほど早く現れる傾向があります。
その他の症状
テトロドトキシンの摂取量が多いと心不全や筋肉麻痺などの症状が現れることもあります。
症状の重症度
テトロドトキシンの症状の重症度は摂取量や体質によって異なります。
一般的に致死量は体重1kgあたり0.03mg程度、分量として1から2mgと言われています。しかし体質によってはさらに少ない量でも死亡することがあります。
フグ中毒の治療
フグ中毒の治療は対症療法が中心となります。具体的には以下のような治療が行われます。
- 吐き気止めや下痢止めなどの薬の投与。
- 呼吸困難の治療。
- 人工呼吸。
また、重症の場合は血液透析や人工心肺などの治療が行われることもあります。
吐き気止めや下痢止めなどの薬の投与
テトロドトキシンは神経伝達を阻害する作用があるため、吐き気、嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。これらの症状はテトロドトキシンの作用を抑える薬によって軽減することができます。
具体的には吐き気止めにはメトクロプラミドやドンペリドンなどの薬、下痢止めにはロペラミド(ロペミン)などの薬が使用されます。
呼吸困難の治療
テトロドトキシンは呼吸筋を麻痺させる作用があるため、呼吸困難を引き起こします。これらの症状を改善するために呼吸器系のサポートが行われます。
具体的には気管挿管や人工呼吸などの方法が用いられます。また、呼吸器系の機能の回復を促す薬も投与されます。
人工呼吸
呼吸困難が進行して自分で呼吸ができなくなった場合は人工呼吸が行われます。人工呼吸は呼吸筋の麻痺を補うだけでなく、呼吸器系の機能の回復を促す効果もあります。
また、重症の場合は血液透析や人工心肺などの治療が行われ、体内からテトロドトキシンを早急に排出する試みがなされます。
血液透析では血液を体外に取り出してテトロドトキシンを除去します。人工心肺では弱った心臓や肺の代わりに血液や酸素を体内に機械的に循環させながら回復を待ちます。
フグ料理の注意点
フグは適切に調理すれば非常においしい魚です。しかし毒性があることを十分に理解した上で、安全に食べるようにしましょう。
フグ料理を安全に食べるために
具体的には以下のような点に注意しましょう。
フグ料理はフグ調理師免許を取得しているお店で食べる
フグ調理師は各都道府県知事が定めたふぐ条例に基づいた試験に合格し、一定の知識と技術を身につけた者です。フグ調理師がいるお店であればテトロドトキシンの含有量を安全に管理したフグ料理を提供しています。
フグ料理を注文する際にはフグ調理師が行っていることを確認する
フグ調理師の免許を取得しているかどうかはお店のメニューやウェブサイトに記載されていることが多いです。また、店員に確認することもできます。
フグの肝臓や卵巣などの内臓はなるべく食べないようにする
フグの肝臓や卵巣などの内臓にはテトロドトキシンが大量に含まれています。これらの部位はフグ調理師であっても完全に取り除くことが難しいため、食べないようにしましょう。
フグの身を食べる際には血合いや内臓が混入していないかを確認する
フグの身には血合いや内臓が混入していることがあります。血合いや内臓にはテトロドトキシンが含まれている可能性があるため、十分に注意して確認しましょう。
フグ中毒の予防
フグ中毒を予防するためには以下の点に注意しましょう。
- お店のメニューやウェブサイトにフグ調理師免許取得者在籍」や「フグ料理の安全管理」などの記載があるかを確認しましょう。
- 注文の際には店員にフグ調理師がいるかどうかを必ず確認しましょう。
- フグ料理が運ばれてきたら肝臓や卵巣などの内臓が提供されていないかを確認しましょう。
- フグの身を食べる際には血合いや内臓が混入していないかを目で確認しましょう。
- 自分でフグを釣ったり、買ったりして普通の魚として調理しないでください。
※フグ調理師の資格の名称は「ふぐ調理師」、「ふぐ処理師」、「ふぐ取扱者」、「ふぐ取扱登録者」、「ふぐ調理者」、「ふぐ包丁師」など、都道府県のふぐ条例によってさまざまに異なります。
フグ中毒の症状は摂取量や体質によって異なります。少量の摂取でも症状が現れる場合があるため、フグ料理を食べる際には十分に注意しましょう。
フグは日本の伝統的な食材です。適切な知識と注意をもって安全に楽しむようにしましょう。
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