非正規雇用について

概要

非正規雇用 by 結城永人

非正規雇用とは正規の雇用契約を結ばない雇用形態全般のことで、臨時社員や派遣社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトといった正規雇用者以外の労働者が非正規雇用者と呼ばれます。日本では1990年代以降に非正規雇用が増加傾向にあり、雇用者全体の中での割合は2019年の38.3％をピークとして下降傾向にありますが、その後も約4割を占めるという高い状態にあります。非正規雇用の特徴非正規雇用の特徴としては以下のようなものが挙げられます。雇用期間が定められている

有期雇用

非正規雇用の多くは有期雇用契約を結んでいます。有期雇用契約とは契約期間が定められている雇用契約のことです。契約期間は1年や3年や5年など、企業によって異なります。有期雇用契約のメリットとしては企業が雇用リスクを軽減できることが挙げられます。一方、デメリットとしては労働者が雇用を継続できないリスクがあることが挙げられます。就業時間が短い

パートタイマー

アルバイト

非正規雇用の中にはパートタイマーやアルバイトのように就業時間が短い雇用形態もあります。パートタイマーもアルバイトも法律上は同じ事業所で一週間の労働時間が通常よりも短い労働者／パートタイム労働者のことを指します（パートタイム労働法）が、一般的にパートタイマーは正社員に近く、定まった日数で就業し、アルバイトは副業に近く、就業する日数も少ないという印象があります。パートタイマーやアルバイトのメリットとしては仕事と家庭の両立がしやすいことが挙げられます。一方、デメリットとしては収入が低いことが挙げられます。労働条件が不安定

雇用保険・厚生年金・健康保険などの加入率が低い。

昇給・ボーナス・退職金がない。

残業や休日出勤の割合が高い。

非正規雇用の労働条件は正社員と比べて不安定な傾向があります。非正規雇用が増加した背景非正規雇用が増加した背景としては以下のようなものが挙げられます。経済のグローバル化や情報化の進展による雇用形態の多様化経済のグローバル化や情報化の進展により、企業は柔軟な雇用形態への転換を迫られています。そのため、正社員以外の雇用形態である非正規雇用が増えています。女性の社会進出による労働力の多様化女性の社会進出が進むにつれて子育てや介護などの家庭の事情を抱える女性の労働力が求められています。そのため、短時間やフレックスタイムなど、家庭の事情に合わせて働ける非正規雇用が増えています。企業のコスト削減による正社員の雇用抑制企業はコスト削減のために正社員の雇用を抑制しています。そのため、非正規雇用が増えています。メリット非正規雇用には以下のメリットがあります。仕事と家庭の両立がしやすい非正規雇用は就業時間が短いため、仕事と家庭の両立がしやすいというメリットがあります。また、残業や休日出勤の義務が少ない働き方を選べば仕事と家庭の両立に役立ちます。自分のライフスタイルに合わせて働き方を選べる非正規雇用は正社員に比べて働き方を選べる自由度が高いというメリットがあります。週の所定労働時間や勤務時間帯などを自分のライフスタイルに合わせて調整することができます。正社員になるための経験を積める非正規雇用は正社員になるための経験を積むための足がかりになるというメリットもあります。正社員として働くためにはある程度のスキルや経験が必要となりますが、非正規雇用で働くことで、そのスキルや経験を身につけることができます。デメリット非正規雇用には以下のデメリットがあります。収入が不安定非正規雇用の収入は正社員に比べて不安定です。雇用期間が定められていたり、就業時間が短かったりするため、収入が減少する可能性があります。労働条件が悪い非正規雇用の労働条件は正社員に比べて悪い傾向にあります。社会保険に加入していない場合が多く、昇給やボーナス、退職金もありません。また、残業や休日出勤の義務があっても正社員に比べて割増賃金が支払われないケースもあります。正社員への転職が難しい非正規雇用から正社員への転職は難しい傾向にあります。非正規雇用で働いている期間が長いと正社員として働くためのスキルや経験が不足しているという理由で、採用されにくくなる可能性があります。政府の支援策非正規雇用労働者の雇用の安定や待遇の改善を図るため、政府は以下の施策を実施しています。有期雇用労働者の雇用の安定を図るための法整備2013年には有期雇用労働者の雇用の安定を図るための法整備として改正労働契約法が施行されました。この法整備により、有期雇用労働者の雇用期間の延長や無期雇用への転換がしやすくなりました。パートタイム労働者の雇用管理の改善を図るための法整備2020年にはパートタイム労働者の雇用管理の改善を図るための法整備としてパートタイム・有期雇用労働法が施行されました。この法整備により、パートタイム労働者の労働時間や賃金などの労働条件が明確化されました。非正規雇用労働者の賃金や労働条件の向上を図るための支援政府は非正規雇用労働者の賃金や労働条件の向上を図るための支援も実施しています。具体的には非正規雇用労働者の賃上げや非正規雇用労働者に対する職業訓練の支援などが行われています。まとめ非正規雇用労働者の雇用の安定や待遇の改善は社会全体の課題となっています。今後も政府や企業による取り組みが求められるでしょう。