最低賃金制度について

最低賃金とは何か

最低賃金制度 by 結城永人

最低賃金とは使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めた制度です。日本では1959年に最低賃金法が制定され、全国の地域別最低賃金と、特定（産業別）最低賃金の2種類の最低賃金が定められています。地域別最低賃金について地域別最低賃金は都道府県ごとに定められています。2023年10月現在の全国平均は時間額1,004円です。地域別最低賃金は地域ごとの経済状況や物価水準などを考慮して専ら都道府県労働局が定めます。都道府県労働局は地方最低賃金審議会という労使の代表で構成される会議の意見を聴いて決定します。地域別最低賃金は時間額で定められています。月額の最低賃金は時間額の最低賃金を1ヶ月の所定労働時間で割って計算します。特定（産業別）最低賃金について特定（産業別）最低賃金は特定の業種について地域別最低賃金よりも高い水準で定められています。特定（産業別）最低賃金は関係労使の申出により、専ら都道府県労働局が地方最低賃金審議会という労使の代表で構成される会議から決定、または改正の必要性を認められた場合に同会議の意見を聴いて決定します。現在、特定（産業別）最低賃金の対象業種は全国で225件となっています。地域により、異なりますが、以下のようなものが含まれます。

鉄鋼業

電子部品製造業

自動車製造業

非鉄金属製造業

百貨店

総合スーパー

各種商品小売業

出典：特定（産業別）最低賃金全国一覧特定（産業別）最低賃金は地域別最低賃金と同様に時間額で定められます。月額の最低賃金も同様に時間額の最低賃金を1ヶ月の所定労働時間で割って計算します。最低賃金制度の目的最低賃金の引き上げは労働者の賃金水準を向上させ、生活の安定を図るものと考えられます。また、低賃金労働が是正されれば労働者の労働条件の改善が期待できるでしょう。最低賃金制度のメリット最低賃金制度のメリットは以下のとおりです。

労働者の最低生活を保障する。

低賃金労働の是正を図る。

労働者の労働意欲を高める。

最低賃金制度によって労働者の最低生活が保障されると労働者は安心して働き続けることができるようになります。また、低賃金労働の是正によって労働者の労働条件が改善され、労働者のモチベーションの向上が期待できます。最低賃金制度のデメリット最低賃金制度のデメリットは以下のとおりです。

中小企業の経営を圧迫する。

雇用の減少を招く。

物価上昇を招く。

最低賃金の引き上げによって中小企業の経営コストが増加し、経営が圧迫される可能性があります。また、最低賃金の引き上げによって経営者が人員削減を行って雇用の減少を招く可能性があるという指摘もあります。さらに最低賃金の引き上げによって企業の人件費が商品・サービスの値段に転嫁されて物価が上昇する可能性があるという指摘もあります。最低賃金制度の議論最低賃金制度は労働者の生活や労働条件に大きな影響を与える制度です。今後もその効果や限界について議論が続くことが予想されます。最低賃金制度のメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えるためには以下のような対策が考えられます。