センザンコウが密猟される理由

絶滅の危機にある動物木の上のセンザンコウ

Pangolin by Frank Kohn / USFWS / Public domain

センザンコウはアジアとアフリカに生息する全八種類が乱獲によって絶滅の危機に瀕しています。2021年にワシントン条約の付属書Ⅰに掲げられて商業目的の国際取引が制限されましたが、その後も犯罪組織などの密猟によって数を減らしていることに変わりありません。センザンコウがなぜ人間から狙われるかの理由は主に以下の3つです。薬の需要センザンコウのウロコは中国や東南アジアの伝統医学で珍重されています。ウロコの服用は血流を改善して母乳の出を良くしたり、婦人病を治したり、関節炎やリウマチの症状を緩和するなどの様々な効果があると信じられており、高値で取引されています。センザンコウのウロコは実際には人間の爪や髪と同じケラチン質であり、医学的な効果は認められていません。しかし中国ではウロコを砕いて煎じるか粉末にして服用するなどの民間療法が伝統的に行われています。また、ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマーといった東南アジアの一部地域、さらにアフリカの多くの国々でもセンザンコウのウロコが薬品として昔から用いられています。センザンコウのウロコは主に中国やベトナムなどのアジア諸国やナイジェリアやガーナを始めとした多くのアフリカ諸国で大きな需要があります。2016年から2019年にかけて世界で押収されたセンザンコウのウロコは約206トンにのぼります。これはセンザンコウの個体数に換算すると約32万頭に相当します。皮革の需要センザンコウの皮革は高級革製品に利用されます。独特の菱形の格子模様が得られるのが特徴で、他にないものだけに希少価値が高く、高値で取引されています。センザンコウの皮革はアジアや欧米を中心に需要があり、鞄や財布や小物類に良く加工されます。肉の需要センザンコウの肉は中央から東南アジアの一部地域で食用とされています。特に中国ではセンザンコウの肉は珍味として扱われ、高値で取引されています。センザンコウの肉は主に中国やベトナムなどのアジア諸国で大きな需要があります。センザンコウの肉は腎臓の機能を助けるものと考えられ、非常に高値で、取り引きされます。従って食べる人は高い身分を示すとも見られるのです。また、ナイジェリアやガーナなどのアフリカ諸国ではブッシュミート（野生動物から得る食肉）の対象であり、高値の食用獣として狩猟されています。これらの需要により、センザンコウは違法に捕獲・殺害され、密輸されています。その結果、センザンコウは世界中で絶滅の危機に瀕しています。密猟を防ぐための方策センザンコウの密猟を防ぐためにはウロコや皮革や肉の需要を減らすことが重要です。そのためには伝統医学や食文化におけるセンザンコウの利用について正しい知識を普及させることが求められています。また、密猟の取り締まりを強化することも重要です。国際的な協力のもと、密猟組織の摘発や、違法取引の防止に取り組むことが必要です。具体的な取り組み具体的には次のような取り組みが考えられます。