概要

日本の雇用制度は戦後の高度経済成長期に、終身雇用、年功序列、企業別労働組合の3つを柱とする日本型雇用慣行が形成され、その後長く続きました。しかし近年では少子高齢化やグローバル化などの影響により、この日本型雇用慣行は変化しつつあります。
終身雇用について
終身雇用の割合は好景気を迎える1980年代までは多かったと見られますが、不況となる1990年代から減少傾向に転じました。2017年には就業者全体の40%程度(男性が32%、女性6.5%)となりました。
出典:定年まで同じ会社で働き続ける男性は32%、女性は6.5%
終身雇用が減少する理由
終身雇用の減少は少子高齢化やグローバル化などの影響によるものです。少子高齢化により、企業は人材を確保するために非正規雇用労働者を増やしたり、早期退職を促したりするなど、雇用形態の多様化を進めています。また、グローバル化により、企業は競争力を高めるために、成果主義や能力主義を導入するなど、人事評価制度の見直しを進めています。
年功序列について
年功序列の影響力は弱まっています。日本企業の年功序列の導入割合は2018年時点で47.1%となっており、1999年の78.2%から、31.1%、低下しています。
出典:成果主義の導入で失敗しないためのポイント5つ~メリット・デメリットから解説~
年功序列の減少の理由
年功序列の減少はグローバル化や少子高齢化などの影響によるものです。グローバル化により、企業は競争力を高めるために成果主義や能力主義を導入するなど、人事評価制度の見直しを進めています。また、少子高齢化により、企業は人材を確保するために、若手社員の早期昇進を進めるなど、年功序列を緩和する動きがみられます。
企業別労働組合について
企業別労働組合の役割は変化しています。2022年の労働組合の推定組織率は16.5%ですが、かつて50%にまで達した1950年代から大きく低下しています。
企業別労働組合の減少の理由
企業別労働組合の役割は少子高齢化やグローバル化などの影響により、変化しています。一つには労働組合加入率の低下があり、これは非正規雇用労働者の増加や企業の労働組合排除の動向などによるものです。もう一つには企業の経営方針への関与が困難になっていることがあり、企業のグローバル化や経営の効率化の動きなどによるものです。
展望
今後、日本の雇用制度はどのような変化を遂げていくのでしょうか。
一つの可能性としては日本型雇用慣行の一部が崩壊し、欧米型の雇用制度に近づいていくというものです。具体的には終身雇用や年功序列の採用が減少し、成果主義や能力主義が重視されるようになると考えられます。
成果主義を重視した雇用制度
成果主義を重視した雇用制度とは社員の成果や成績、実力に応じて、賃金や昇進などの待遇を決定する制度です。
メリットは社員のモチベーションやパフォーマンスの向上、企業の業績や競争力向上、人材の適材適所配置などが挙げられます。
デメリットは短期的な成果ばかりに目が向く、社員の不公平感やモチベーションの低下、社員の働き方への影響などが挙げられます。
成果主義を重視した雇用制度を導入する際にはこれらのメリットとデメリットを十分に理解し、適切に運用することが重要です。
具体的には成果の評価基準を明確にし、成果の評価を公正に行う、社員のモチベーションを維持するための施策を講じるなどの点に注意する必要があります。
能力主義を重視した雇用制度
能力主義を重視した雇用制度とは社員の能力や資質に応じて賃金や昇進などの待遇を決定する制度です。
メリットは社員の能力開発や向上を促進し、企業の業績や競争力向上につながる点です。
デメリットは能力の評価が難しいため、不公平感やモチベーションの低下を招く可能性がある点です。
能力主義を導入する際には能力の評価基準を明確にし、公正に評価を行うことが重要です。
また、もう一つの可能性としては日本型雇用慣行の基本的な考え方は維持しつつその運用を柔軟化していくというものです。具体的には非正規雇用労働者の処遇改善や労働者の多様な働き方を認める制度の整備などが考えられます。
非正規雇用労働者の処遇改善
非正規雇用労働者の処遇改善とは正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇格差を是正し、非正規雇用労働者の労働条件を向上させるための施策です。
具体的には同一労働同一賃金の実現、正規雇用への転換の促進、非正規雇用労働者への教育・訓練の機会の拡大、非正規雇用労働者に対する社会保障の充実などの施策が挙げられます。
これらの施策は労働者の生活の安定と向上、経済の活性化、社会の公平性の確保につながります。
労働者の多様な働き方を認める制度
労働者の多様な働き方を認める制度とは労働者のライフスタイルや価値観の多様化に対応し、労働者が自分の働き方を選択できるようにする制度です。
具体的にはフレックスタイム制、テレワーク、短時間正社員制度、副業・兼業、業務委託化などが挙げられます。
これらの制度は労働者のワークライフバランスの実現や企業の競争力強化につながると期待されています。
いずれにしても今後の日本社会の変化とともに、日本の雇用制度も変化していくことになるでしょう。
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